転職漂流記〜株式会社にゃんリュミエール編〜前編
デザインの仕事重視にお母さんが探した次の仕事は、主に七夕祭りの七夕飾りを
プロデュースする小さなデザイン会社、株式会社にゃんリュミエールでした。
履歴書を送る書類選考では、お母さん天然お得意の「そのまんま」を書きました。
書類選考が通り、面接になると相変わらず何も持ってないお母さんに社長さんは
まだ若いから、これから勉強すればいいと言ってくれました。
ただ、主婦業は大丈夫ですか奥さんが正社員で働くなんて、家の事は出来ますかと
やや古い考え方で訪ねて来ました。まぁまぁのおじいちゃん社長なので仕方ないです。
お母さんは大丈夫です!と意気込み、デザイン部配属で採用されました。
いよいよ夢にまで見た本格的なデザインの仕事です。
この会社の主なる収入は、冒頭に記載した通り七夕祭りの七夕飾りのデザインです。
とても大きくて有名なお祭りです。
ディスプレイデザインが主なので、七夕祭り以外の普段は商店街のアーケードに季節ごとに
変わる装飾をデザインしたり、クリスマスのツリーにイルミネーションのデザインをしたり、
デパート(と言っても街の小さなデパートで三越とかみたいな大きなデパートではない)
のウィンドウのディスプレイをデザインしたりしています。
基本的に商店街の皆さんがクライアントでした。
小さい会社ながらも自社ビルで、商店街の中にありました。
1階はディスプレイ商品が売っていて、お店に飾る造花や玉飾りみたいなのを時々商店街の
人が買っていきました。今は100円ショップやドンキホーテなどでディスプレイ商品が売って
ますが当時はそんなお店はありませんでした。
さて、デザイン部です。
デザイナーは所長の年配男性、30代の男性、お母さん、たまにヘルプで来るフリーデザイナー
のおじちゃんの4人です。
営業さんが5人位いて、クライアントが希望するデザインを聞いてきて、デザイン室に直接
やって来ては所長に口頭で伝えます。営業さんが言ってくる希望のディスプレイを所長が
手書きでデザインを紙に起こしてゲラにし、営業さんに渡します。
営業さんはゲラを持ってクライアント先に行き、あれこれ修正があってはまた所長が
修正したゲラを渡して営業さんが持って行く、というのを何回か繰り返してOKが出ると、
所長がお母さん達デザイナーに割り振って、IllustratorとPhotoshopというソフトでゲラを
データーに起こし、実際取り付ける場所の写真に合成をして、イメージを固めます。
イメージ写真をまた営業さんがクライアントに持って行き、OKが出たら制作部が形に
します。デザイン部もペンキを塗ったり、お花の飾りを付けたりして手伝います。
自分がデザインしたものが(ベースは所長だけど)こうして形になって、色々な所に
飾られていく。七夕祭りは所長がベースのデザインを起こすだけでは間に合わないので、
他のデザイナーも自分でゲラから起こして営業さんに提案します。
もちろんお母さんも自分でゲラを起こしてデザインしました。クリスマスツリーの装飾
デザインもさせてもらいました。もう楽しくて楽しくて、お母さんは毎日幸せでした。
若いせいかどんどん上達し、次第に色やDTP知識も自然と身に付き、
IllustratorもPhotoshopも、所長より使いこなせるようになり(と言っても所長はまだ
パソコンというもの自体について行けない)、いつのまにかキャピキャピしていた
お母さんはどこへやら。2年経った頃には立派な若手デザイナーになっていました。
自信もついたそんな頃、七夕飾りの仕事を仲介して取りまとめている七夕祭り協会が
不況で潰れてしまいました。。。
…株式会社にゃんリュミエール 後編に続く
お母さん、どうなっちゃうんですか!?気になります、ボク!!