幸せのチョコレート

みなさんこんばんは、テレです。

お母さんはいつも会社のお昼休みは、違うチームで働くおばちゃん達とワイワイガヤガヤしながら楽しく過ごしています。

そのおばちゃん達の中に、一人とても生活に困っているらしき人がいます。おばちゃんの名前はトモちゃんママです。

トモちゃんママは、母子家庭です。中学生の男の子と小学生の男の子がいます。3人で仲良く暮らしていますが、普通の家庭と少し違うところがあります。実はお兄ちゃんも弟くんも発達障害があり、学校に行けないという問題を抱えているのです。

弟くんはそれでも、学校に行って別の教室で先生と一緒に給食を食べて帰ってくる事は出来るそうです。でもお兄ちゃんは、引っ越しをきっかけに全く外に出れなくなってしまったそうです。

実家の家族も発達障害を持つ子に理解がなく、同居も援助もしてもらえないそうです。トモちゃんママは仕方なく安いお給料をやりくりして、何とか3人で暮らしているそうです。

そんなトモちゃんママは、お昼の時に会話の間さえあればいつも「ウチはお金が無い」という発言を頻発します。誰かが旅行に行くと言うと…

「いいなー、ウチはお金がないから、絶対行けない」と言ってシーンとさせ、、、

誰かが「このパン、300円のが200円でお買い得だったよ！」と言うと…

「200円でもすっごい高級じゃん！ウチはお金がないから、100円の食パンしか買えない」と言ってシーンとさせ、、、

とにかく事あるごとに「お金が無い」をずっと連発して、周りを沈黙させます。でもトモちゃんママのお昼ご飯はいつもコンビニで買った立派なお弁当です。500円位します。サラダだけはいつも手作りで持ってくるけど、お弁当はちゃんと買ってます。

お母さんなんて、お昼にお金を使うのはもったいないからと言って、簡単に作って持って行きます。500円もお昼のお弁当代に使うなんて本当にお金が無いのかしら、オーバーなんじゃないかしら、とお母さんは内心思い、ついトモちゃんママの「お金が無い」発言にイライラしてしまう事もあるのでした。

そんなある日、お母さんは隣の席の部長さんから「テレのお母さん、いつも大変な集計作業ありがとね」と言われチョコレートをもらいました。そのチョコレートは、フリーズドライ苺をホワイトチョコレートでコーティングしたものでお母さんが好きなチョコレートでした。

好きなチョコですが、一人で食べるのは多いので、近くにいたトモちゃんママにも2粒お裾分けしました。しばらくすると、トモちゃんママがお母さんのところに来てニコニコしながら言いました。

「こんな美味しいチョコレート、何年ぶりに食べただろう。ありがとう！チョコレートっておいしいね、幸せな気分になるね。ウチは本当にお金が無いから、こんなの何年も食べてない。」

お母さんは大袈裟だな、と思いましたがあんまりトモちゃんママが嬉しそうなので、残っているチョコレートをトモちゃんママに渡して、「さっき袋開けたばかりだから、残りあげるよ。どうせ一人じゃ食べきれなくてお裾分けしたんだし」と言いました。

するとトモちゃんママは「え、いいよ…」と遠慮するので、「いーじゃん、あたしだって頂き物だし」と言ったら受け取って、「ありがとう！子供のお土産にする！こんなの買ってあげられないから。子供たち、喜ぶ！」と言って涙目になりました。

お母さんはビックリして、「何泣いてんの！？」と言うとトモちゃんママは鼻をすすって「だって、嬉しくて」と言いました。お母さんは思わず自分のおやつの「こつぶっこ」の小さい袋も2つあげました。

こんな、こんな事でこんなに喜ぶなんて、トモちゃんママは毎日どれくらいしんどい気持ちで過ごしているのだろうとお母さんは思いました。

誰も味方になってくれなくて、たった一人で頑張って、息子たちの将来が心配で、切り詰めた生活して、、、張り裂けそうな思いを抱えて生きるトモちゃんママにとって、お昼のコンビニ弁当は唯一の楽しみなのかもしれない。

お母さんは人並みの生活をしていて、ほかに楽しみがあるから「お昼ご飯は節約しよう」と思えるけど、全てが節約のトモちゃんママからしてみれば、みんなとお昼を食べる時くらい人並みの生活をしていると感じたいのかもしれない。

お母さんはトモちゃんママの「お金が無い」発言に時々イライラしてしまった事を深く反省しました。世の中には、いろんな事情で普通の事が出来ない人がいるということを、改めて痛烈に感じるお母さんでした。

お母さん、元気出してください。また人の痛みが分かりましたね。お母さんはまた一つ、人として成長したんですよ。ボク、そんなお母さんもトモちゃんママも応援しています！！