テレの日記

ボクの日記です。お母さんの記録もしています。

明晴学園の子ども達

お母さんは今日、会社を有給休暇でお休みして、

ろう学校の明晴学園を見学してきました。

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ここは日本で唯一、ろう児を日本手話で教育するろう学校です。

耳が聞こえる聴者の人間はほとんど知らない事実ですが、実は耳が聞こえない

子ども達が学ぶろう学校では、ろう者の言語である日本手話での教育は受けられず、

ほとんど口話法と呼ばれる教育法で学ぶそうです。

 

口話法とは、耳が聞こえないにもかかわらず、聴いて喋ることを強いる方法です。

聞こえないのに発音させる、聴者の口の動きをみて何を言ってるのか理解させる、

という耳が聞こえる人間を基準とした教育です。

 

お母さんも本を読むまではそんな事実は知らなかったのですが、それを知ってから

先天的に出来ない事を無理強いされる苦痛は、きっと生きる意味を失うくらい辛かっ

たろうとしみじみ思ったそうです。

 

そんなわけで、お母さんはそんな理不尽を強いられる社会に真っ向から反論し、

ついにろう者の言語である日本手話で教育する学校まで作った事にとても驚き、

実際のろう児の実態を直接肌で感じる為に見学に行きました。

 

学校は、本当に普通の学校でした。

校舎はどこにでもある、普通の公立校と何ら変わりません。

変わっているのは、チャイムは音ではなく光で表されること。

いろんなお知らせがあちこちに絵や文字で聴者の学校より多く書かれていること。

 

乳児部、幼稚部から中学部まで、一つの校舎で一貫して学びます。

高等部、つまり高校はありません。理由は高校生の年になるとそれぞれ自分が

やりたい事がはっきりしてきて、個別指導が専門的になってくるので対応しきれない

そうです。

 

なので明晴学園では、中学3年生になると全員高校受験をするそうです。

ほとんどの子が公立校を受験するそうで、私立に行く子はいないそうです。

今年は例外的に一人いたようですが。

 

なぜ、私立の高校を受験しないか知っていますか?

それは、私立の高校から出願自体を断られるからだそうです。出願すらさせてもらえない。

今は、21世紀です。20世紀の時に藤子不二雄が描いたマンガの主人公、ドラえもん

は21世紀から来た設定です。

 

そんなドラえもんがいるかもしれない程の未来になっても、ろう児達は私立の

高等学校の出願を断られる。どんなに技術が発達しても、人の心や信念という

ものはなかなか発達しないものだと、お母さんは感じたそうです。

 

でも、子ども達はというと…

 

なんてのびのびと学んでいるのでしょう。

この学校は、教科書を広げて先生が一方的に教えるのではなく、

先生と子ども達が同等の立場で一体になって学んでいるのです。

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教育のレベルの高さにも眼を見張るものがありました。

これは日本の一般校にはないと思われるのですが、考えて自分の考えをきちんと

理論的に根拠を挙げて述べる事が出来るディスカッションの教育です。

 

この教育法は欧米や北欧ではほぼ当たり前とされていますが、ほぼアジアでの特に

日本では稀と感じます。

 

この子達がこのまま、この素晴らしい教育を受けて社会に出てくれれば、日本は

なんて素晴らしい国になるか分かりません。

お母さんはこの子達が将来何かにぶつかった時に少しでも役に立てるように、

役に立たなくても日本手話が出来れば何か優しい言葉をかけて励ましたり、

応援したりする事が出来るようになりたいそうです。

 

小さい手で一所懸命に手話で言葉を話す子ども達をみて、お母さんはもっと

日本手話を勉強しようと思ったそうです。